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骨盤臓器脱手術は何科を受診する?手術のリスクや術後の合併症は?

骨盤臓器脱手術の決断に悩む女性骨盤臓器脱
とっこ
とっこ

私は40代半ば頃に、自分が骨盤臓器脱になっていることを知りました。骨盤臓器脱は命にかかわる病気ではないので、自分が我慢すればすみます。でもつらいです。5年ほど様子を見ながら過ごしました。その間、日によってはあまり気にならなかったり、症状が重くてとても不安になったり・・・。

「このくらいは中年女性にはよくあること?」
「我慢するしかないの?」
「手術をした方がよいのでは?」

悩みました。そして何度か病院に足を運びました。

骨盤臓器脱手術は何科で相談する?

女性泌尿器科・ウロギネ科

骨盤臓器脱手術については何科を受診すればよいのでしょう?骨盤臓器脱は、子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤など複数の臓器にかかわる病気です。ですので、婦人科、泌尿器科、大腸肛門科、外科という異なる領域にまたがっています。そのため、それらを総合して扱う診療科に行くのが望ましいです。それは「女性泌尿器科」や「ウロギネ科」などと呼ばれています。「ウロギネ」とはウロギネコロジー (Urogynecology)を短くしたもので、ウロ(Urology:泌尿器科)とギネ(Gynecology :婦人科)とを組み合わせた言葉です。

とはいうものの、当時の私はそのことをよく知らず、子宮がん検診のついでに婦人科で相談したり、インターネットで検索をして、HPに骨盤臓器脱手術について説明がある婦人科を探して、診察を受けました。

病院は午後に行くとよい

5年ほどの間、いくつかの婦人科で診察を受けたのですが、不思議なことに、医師によって言うことが違うのでした。

「子宮、膀胱、直腸すべて下がっていて、直腸瘤が重症」とか
「子宮と直腸は下がっているが、膀胱は下がっていない」とか
「膀胱と直腸は下がっているが、子宮は下がっていない」など……

診察を受けた時期が違ったので、下垂の進行具合が異なっていたこともあるでしょうが、あとで知ったことは、一日のうちでも、症状の変化が随分あるということです。夜、寝ている間は骨盤臓器はほぼ定位置におさまっているが、起きてから体を動かしている間に落ちてきて、午後の方が具合が悪くなる人が結構多いのだそうです。そのため、私の場合も、診察を受けた時間帯によって症状の出方が様々で、医師によって言うことに差があったのだと思われます。

ですので、もし病院で診察を受けるのなら、なるべく午後に行くことをお勧めします。朝のうちに行くと、あまり骨盤臓器脱の症状が出ず、医師が判断しずらいかもしれませんので。

骨盤臓器脱は手術するべき?

QOLと手術のリスクを天秤にかける

QOLという言葉があります。Quality of life(生活の質)の略です。骨盤臓器脱は命にかかわる病気ではありませんが、QOLを下げます

私の場合ですと、頻尿がQOLをひどく下げていました。お手洗いにすぐ行けないところに出かけるのは、とても不安でした。例えば子供達の入学式や卒業式、保護者会など。バス旅行には絶対行きませんでした。家の近所に1時間ほどの買い物に行くだけなのに、出かける前にトイレを済ませても、途中で行きたくなって慌ててコンビニに駆け込んだり……。入浴前にトイレを済ませても、入浴中にどうしても行きたくなったり……。夜中は必ず3回トイレで目が覚めました。ぐっすり眠れないことが日常でした。

5年の間、上述の通り婦人科で数回診察を受けましたが、医師達の見解は共通して、「手術は必要ない」でした。一人の医師には「手術をしたとしても高齢になってから再発する可能性があるので、今はしない方がよい」と説明されました。

「手術は必要ない」と言われる度に安心しましたが、症状はひどくなる一方で、次第に「手術でもなんでもいいから、とにかく何とかしてほしい!」と思うようになっていきました。

骨盤臓器脱手術のための検査

QOL向上のため、手術についてインターネットで必死に調べました。その頃になると「女性泌尿器科」というものがあることも分かり、手術実施件数が多く、名医と思われる先生がいる病院を見つけて診察を受けました。皆さんの参考になることもあるかと思うので、当時の手帳のメモを見ながら、体験を書き残しておきます。

その病院での検査は、それまで婦人科で経験したものよりも専門的で、次のようなものでした。

・内診
・家で3日間排尿日誌をつける
(摂取水分量、毎回の排尿量、トイレに行った時刻を記録)
・超音波検査
・排尿の勢いの検査
・膀胱をいっぱいに貯めてのMRI検査

検査の結果、医師からは次のように言われました。

直腸瘤が完全脱の一歩手前。(1~4度のうち、3)

膀胱瘤がひどい。

尿道がグラグラと不安定(尿道過可動)。

骨盤底筋運動では治らない

頻尿用の薬は、排尿困難につながるので処方できない。

ペッサリーを使うこともできるが、直腸瘤には効かない。

ペッサリーとは?
リング状の医療器具。膣の中に挿入し、下がっている骨盤臓器を本来の位置に持ち上げるもの。

子宮後屈である。

子宮後屈とは?
子宮は普通は前方に傾いているが、先天的に後方に傾いているもの。それ自体は病気ではないが、頻尿や排尿困難の原因となることがある。

過活動膀胱である。

過活動膀胱とは?
膀胱と脳がうまく連携せず、尿が溜まっていなくても、急に強い尿意を感じて、我慢できなくなること。我慢できず尿もれしてしまうものを「切迫性尿失禁」という。

★手術をするとしたら、TVM手術になる。

TVM手術とは?
ポリプロピレンの人工メッシュを膣内に挿入し、傷んでいる骨盤内の支持組織を補強する手術。2000年にフランスで開発され、日本では2005年に始まった。以来、日本の骨盤臓器脱手術のスタンダードになっている。

腹圧性尿失禁があるかどうかは不明。曲がっている尿道がTVM手術によって改善して尿が出やすくなり、隠れている腹圧性尿失禁の症状が現れる場合もある。その場合、約半年後に別の手術をする必要が出てくる。

腹圧性尿失禁とは?
せき、くしゃみ、スポーツなど、腹圧がかかった時に尿が出てしまうもの。

骨盤臓器脱手術費用は?手術の合併症は?

上記の通り、医師より骨盤臓器脱の治療として、TVMメッシュ手術を勧められたのでした。TVM手術は開腹ではなく膣から行うので怖くないし、わずか2泊3日の入院で済むのも良いと思いました。手術費用は25万円くらいとのことでした。

インターネットで調べると、もっと手術費用が安い(15万円~)病院も多くありました。また入院期間も病院によって様々で、日帰り手術をしているところ、1週間~10日の入院を要するところなどあります。いずれにせよTVM手術は効果が高そうで、「これで救われる!!」と思いました。

しかし不安もありました。この女性泌尿器科を受診したのは2013年のことです。TVM手術が始まったのは2000年(日本では2005年)ですから、手術開始から、わずか13年しかたっていませんでした。後遺症などなく、20年、30年、40年と無事にもつかどうかは、誰にもわからない、実証されていないことなのです。心配でした。

また今回この記事を書くにあたりネットで調べたところ、日本より先にメッシュ手術が始まった欧米では、重篤な合併症に苦しむ患者さんが大勢いることが分かりました。人工メッシュは人の体にとっては異物なので、ばい菌がついて感染したり、腹腔内で炎症を起こしたりすることがあるそうです。

骨盤臓器脱手術の合併症の可能性については日本のサイトにも言及がありますが、その重篤さについて具体的に説明している記事を見つけることはできませんでした。そこで英語のサイトで探したところ、2008年~2010年には3人のアメリカ人女性が、つい昨年の2017年は1人のカナダ人女性(42歳)が、メッシュ手術の合併症や後遺症などで命を落としているのだそうです。欧米では手術後の合併症のため2010年頃から訴訟が多発し、大問題になっています。それを受けて合併症回避のため、日本では2015年頃から小さいメッシュを使用する病院も出てきています。

この他、TVM手術には、メッシュの露出、膀胱・尿管・直腸などの損傷という合併症が伴うこともあるそうです。リスクを避けるために骨盤臓器脱手術を見送るか、QOLを優先して手術を選択するか、悩ましいところです。

お勧め書籍

骨盤臓器脱を具体的な体験談を交えて丁寧に解説している「女性なら知っておきたい骨盤臓器脱」を紹介します。保存療法や手術の種類なども、丁寧に解説してくれています。

とっこ
とっこ

結局私は、わらにもすがる気持ちで、TVM手術の予約をしたのでした!しかしこの後、意外な展開に!なんと、手術せずに骨盤臓器脱の治療ができてしまったのです♪

 

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