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子宮脱などの骨盤臓器脱手術の合併症・後遺症のリスクと海外の事例

手術の合併症に悩む女性 骨盤臓器脱
とっこ
とっこ
私は骨盤臓器脱になり、2013年に人工メッシュを膣内に挿入する「TVM手術」を受けることになりました。しかしその後、セカンドオピニオンにより別の治療法を知り、手術をキャンセルしたいきさつはこちらに書いたとおりです。最近になって英語のサイトをいろいろ読んでわかったのですが、なんとここ数年の間、メッシュを使用した骨盤臓器脱手術の合併症や後遺症が、海外で大問題になっています!ここでは、日本語のサイトではなかなか触れられていない、骨盤臓器脱手術の深刻なリスクや、それに対する外国の対応などを紹介します。

骨盤臓器脱のTVM手術の問題

海外と日本での認識の違い

子宮脱などの骨盤臓器脱治療のために行われるTVM手術は、ポリプロピレン製の人工メッシュを膣の中に入れて、傷んでいる骨盤内の支持組織を補強する手術です。2000年にフランスで開発され、日本で初めて実施されたのは2005年のことでした。開腹ではなく膣から行うので患者の負担が少なく、当初は、優れた画期的な術式であるとみなされていました。

メッシュを用いたこの手術は、日本では開始が欧米よりも遅れたこともあり、また高度な技術を要するので、どこの病院でも実施されているわけではありません。しかし後述しますが、ここ数年の間で、欧米では合併症や後遺症が大問題になり、メッシュ手術が禁止されたり、訴訟が数多く起こされたりしています。それに対し、日本では今も、メッシュを用いた手術は骨盤臓器脱手術の標準的な術式の1つとして認められています。ただし合併症のリスク回避のため、小さいメッシュを使用する病院も出てきてはいますが。

手術の中期的な成績が出つつある

メッシュを使った子宮脱などの骨盤臓器脱手術は2000年(日本では2005年)に始まったばかりでしたので、私が手術を決心した2013年の時点では、手術後の中~長期的な経過についての実績がありませんでした。たとえ手術が成功したとしても、果たして20年後、30年後まで無事にもつのかどうか、失敗した場合の合併症や後遺症のリスクはどのくらいなのかなど、わからないまま手術を決断しなければならなかったのです。

しかしあれから5年ほど経過し、フランスでの手術開始からまもなく20年となるここ数年で、状況が大きく変わりつつあります。メッシュを使った手術を受けた女性達の合併症や後遺症は、欧米では大問題となっていて、手術を禁止する国も出てきました。つまりメッシュ手術は、重篤な合併症や後遺症をもたらすリスクが高いことが、時を経て明確になってきたのです。

手術の合併症・後遺症

子宮脱などの骨盤臓器脱治療のためにメッシュを膣内に挿入するということは、体に人工の異物を入れるということです。そのため、ばい菌がついて感染症をひき起こす可能性があります。

欧米ではメッシュを用いた骨盤臓器脱手術の合併症、後遺症で苦しむ女性達による訴訟が多発しています。女性達が訴えている合併症・後遺症は次のようなものです。

腹部や膣部の激しい痛み

感染症

出血

神経の損傷

臓器の穿孔

メッシュの露出

歩けない

性生活ができない

ちなみに私にセカンドオピニオンを与え、手術を思いとどまらせてくれた女性泌尿器科の医師によると、もし私が手術を受けた場合は、患部に慢性的なひどい痛みが残るだろうということでした。そんな後遺症をかかえることになったらたまりません。手術をしないことに決めて、本当に良かったと思っています!

手術の合併症で亡くなるケースも!

英語のサイトを読むと、海外ではメッシュを使った手術の合併症が原因で亡くなった女性もいることがわかります。

例えば2017年には、42歳のカナダ人女性が亡くなっています。

彼女は2013年に、産後の尿もれ治療のために膣内にメッシュを挿入する手術を受けました。生前の彼女の話によれば、術後すぐに腹部の痛みが始まったそうです。彼女の体はメッシュという異物を受け付けられず、感染症を繰り返し、性生活や歩くことができなくなりました。

彼女は2015年に再び手術を受け、メッシュを除去しました。しかし感染症治療の抗生物質は効かず、ひどい痛みは続きました。そして回復することなく、昨年この世を去ってしまいました。

海外の骨盤臓器脱手術の問題

海外では、メッシュを使った手術による合併症や後遺症の問題を受けて、メッシュ使用を禁止する国も出てきています。また訴訟も多発しています。日本語のサイトでは明らかにされていないようなので、英語のニュースサイトを読んで調べてみました。以下に抜粋したものをご紹介します。

スコットランド:手術の合併症で苦しむ女性達

2016年12月19日付 BBC Newsより抜粋・翻訳

スコットランドでは、2万人以上の女性が骨盤臓器脱のメッシュ手術を受けてきた。しかし中には術後の腹部や膣部の激しい痛み、感染症、出血などの合併症で苦しむ女性も存在し、2014年6月にスコットランド政府は、安全性について調査が完了するまで、メッシュ手術を中止することを要請した。

メッシュ手術を受けた女性のうち、どのくらいに合併症が現れたかについてははっきりしていない。しかし300人以上の女性が、合併症などの問題を修復するために再手術を受けたというデータがある。

またMHRA(Medicines and Healthcare Products Regulatory Agency:イギリスの「医薬品・医療製品規制庁」)は、骨盤臓器脱のメッシュ手術を受けた女性の2~6%が合併症で苦しんでいると考えている。

メッシュ手術を受けた女性の2~6%に合併症が出るとは、かなりの高い確率だと思います。合併症の確率を約10%としている別の記事もありました。メッシュ手術には失敗し、合併症が起こるという大きなリスクがあると考えられます。

イギリス:メッシュ手術禁止勧告

2017年11月27日付 BBC Newsより抜粋・翻訳

イギリスの NICE(National Institute for Health and Care Excellence:「国立医療技術評価機構」)は、骨盤臓器脱治療のためのメッシュ手術は禁止されるべきであると発表した。

NICEによる新ガイドラインには、「メッシュ手術の合併症が起こった場合、それは重篤で、一生を左右しうること」、そして「メッシュ手術は研究においてのみ許可されるべきこと」が含まれる予定だ。

2017年11月27日付 Newsweekより抜粋・翻訳

イギリスで骨盤臓器脱のメッシュ手術を受けた女性は、およそ15人に1人の割合で、のちにメッシュを除去する手術を受けている。

15人のうち1人がメッシュを除去しているということは、少なくとも約6%の確率で手術が失敗しているということです。メッシュを使った骨盤臓器脱の手術は、かなり高い確率で失敗に終わっていると言うことができるのではないでしょうか。

オーストラリア:合併症により手術禁止

2017年11月30日付 ABC Newsより抜粋・翻訳

オーストラリアのTGA(The Therapeutic Goods Administration :「オーストラリア保険省薬品・医薬品行政局」)は、骨盤臓器脱のメッシュ手術を禁止した。2018年1月4日以降はメッシュの購入ができなくなる。

オーストラリアでは、何百人もの女性が、慢性的な痛みや感染症などのメッシュ手術の深刻な合併症に苦しんでおり、集団訴訟を起こし、上院による調査の対象になっている。

TGAは、メッシュ手術のメリットよりも合併症のリスクの方が大きいと考えている。

別のニュース記事によると、オーストラリアの集団訴訟を起こしている女性の人数は、700人以上だそうです。

ニュージーランド:メッシュ手術全面禁止

2017年12月12日付 The Guardian より抜粋・翻訳

ニュージーランドの Ministry of Health (保険省)は、2018年1月4日以降の膣部手術のためのメッシュの売買を禁止した。これは、骨盤臓器脱手術におけるメッシュの使用を制限しているオーストラリアやイギリスよりも、さらに進んだ動きである。というのは、この決定によって、ニュージーランドでは尿失禁のためのメッシュ手術も、事実上禁止されるからである。

ここで言われている尿失禁のためのメッシュ手術とは、「TOTスリング手術」または「TVTスリング手術」と言われているもののことだと思われます。TOT手術・TVT手術は、メッシュテープを膣内に挿入し、尿道を支えるものです。

ニュージーランドは、TVM手術、TOT手術、TVT手術のすべてに関連する、メッシュの使用を全面的に禁止した最初の国になりました。

アメリカ:手術合併症に関し訴訟多発

2017年11月27日付 Newsweekより抜粋・翻訳

骨盤臓器脱メッシュ手術による合併症に関して、米国では55,000人近くがメッシュのメーカーを相手に訴訟を起こしている。メーカーから5,700万ドルを勝ち取った女性もいる。さらに集団訴訟も起きている。

2008年から2010年の間に、メッシュ手術の合併症により3人の女性が亡くなっている。

別の記事によると、訴訟で5,700万ドルを勝ち取った女性は、5人の子供を出産後、尿もれに悩まされ、骨盤底筋を補強するためにメッシュ手術を受けたそうです。ところが挿入されたメッシュが膣内で腐食し、ひどい痛みと損傷を引き起こしました。そのためメッシュを除去するため3回の手術を受けたのですが、メッシュをすべて取り除くことはできず、今でも耐えられない痛みが続いているということです。

とっこ
とっこ

メッシュを使った子宮脱などの骨盤臓器脱手術は、海外の実情を知るると、合併症や後遺症のリスクが高く、場合によっては命にもかかわる危険なものだとわかります。しかし私がそうであったように、尿トラブルなどで悩まされている場合、手術に頼りたくなることもあるでしょう。またメッシュ手術のおかげで快適な生活ができるようになった女性や、どうしてもメッシュ手術が必要な女性もいることと思います。リスクとメリットのどちらを重視するか悩ましいですが、手術を検討している人は、海外の実情を踏まえて、まずはリスクを十分把握することが大切だと思います。

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